占いコラム 28

ハウスのカテゴリー(3)

8室は死のハウス?

西洋占星術では8室を死のハウスと定義しています。人の死にはたしかに8室が絡むことがよくあります。そして、インド占星術でも、8室は、死を表すハウスとされていますが、死を引き起こすハウスではありません。実際に死を引き起こすハウスは2室と7室です。

つまり、8室は、生命や寿命を表すハウスであり、死を引き起こす他の要因によって、その8室が表す生命あるいは寿命が尽きた状態が死なのです。

マーラカスタナ(殺人者の位置)

2室と7室は、マーラカスタナに分類されます。マーラカとは『殺人者』のことで、マーラカスタナは『殺人者の位置』という意味です。

12室 1室 2室
マーラカ
3室
11室 アセンダントが
牡羊座のとき
4室
10室 5室
9室 8室 7室
マーラカ
6室

一般的に、マーラカは、2室か7室あるいはそれらの支配星をさし、2室や7室の在住星をマーラカと呼ぶこともあります。マーラカスタナは、死や健康に関わるハウスであり、人の死亡時期には、ほとんどの場合マーラカが関係しています。

※一般的に、7室よりも2室のほうが強力なマーラカです。また、在住星よりも支配星のほうが強力なマーラカです。

※マーラカは、生命を傷つける要因となるものであり、死亡だけでなく、健康にとっても良く無い影響を与えます。

※土星あるいはラーフがマーラカとなるときは、マーラカとしての凶意が強くなるため、特に注意が必要です。

2室と7室が殺人のハウスとなる理由

これは1室から12室までのどのハウスについても当てはまることですが、あるハウスからの12室目は、そのハウスのテーマを消耗・損失・喪失するハウスとなります。この論理により、8室から数えて12室目にあたる7室は、生命(8室)を消耗・喪失(12室目)するハウスとなります。

また、8室から数えて8室目にあたる3室は、8室と同様、生命を表すハウスとなります。そして、3室からの12室目にあたる2室は、8室からの12室目にあたる7室と同様、生命(3室)を消耗・喪失(12室目)するハウスとなります。

※8室からの8室目にあたる3室が8室と同様のテーマを表すことについては、インド占星術では良く知られた見方です。例えば、幸運を表す9室からの9室目にあたる5室は、9室と同様、幸運を表します。また、例えば、職業・地位・名誉を表す10室からの10室目にあたる7室も、10室と同様、職業・地位・名誉を表します。

マーラカ(殺人者)が生命のハウスを傷つけるとき

ヴィムショーッタリー・ダシャーを使用して人の死亡時期を検証すると、マーラカスタナである2室と7室が死の誘因となっていることがよくわかります。

2室や7室の支配星が生命のハウスである3室や8室(あるいはその支配星)を在住やアスペクトによって傷つけているか、あるいは3室や8室の支配星が2室や7室に在住している場合、2室や7室の支配星のダシャーは、特に生命にとって悪いダシャーとなります。また、その場合、傷つけられている側の3室や8室の支配星あるいは在住星のダシャーも生命にとって危険な時期となります。

バダカスタナ(障害の位置)

バダカスタナは障害となるハウスです。活動星座・不動星座・両方星座のうち、どの星座にアセンダントが入るかにより、バダカスタナとなるハウスが決まります。アセンダントが、活動星座のときは11室、不動星座のときは9室、両方星座のときは7室がバダカスタナです。

そのため、一般的に、マーラカとしては、7室よりも2室のほうが有害ですが、アセダントが両方星座の場合、バダカと重なる7室のほうが生命にとってより有害と見なされます。

※8室からの8室目にあたる3室が8室と同様のテーマを表すことについては、インド占星術では良く知られた見方です。例えば、幸運を表す9室からの9室目は5室ですから、5室も幸運を表します。また、例えば、職業・地位・名誉を表す10室からの10室目は7室ですから、7室も職業・地位・名誉を表します。

ASC 牡羊 牡牛 双子 獅子 乙女 天秤 射手 山羊 水瓶
バダカ 水瓶 山羊 射手 牡牛 牡羊 獅子 双子 天秤 乙女
12室 1室 2室 3室
11室
バダカ
アセンダントが
活動星座
牡羊座のとき
4室
10室 5室
9室 8室 7室 6室
11室 12室 1室 2室
10室 アセンダントが
固定星座
牡牛座のとき
3室
9室
バダカ
4室
8室 7室 6室 5室
10室 11室 12室 1室
9室 アセンダントが
両方星座
双子座のとき
2室
8室 3室
7室
バダカ
6室 5室 4室

中立ハウス

2・8・12室は、中立ハウスに分類されています。これらのハウスは、一般的に、良いハウスと関連するときは良い働きを、そして悪いハウスと関連するときは悪い働きをします。

※ここでいう良い働き・悪い働きはあくまで一般論であり、実際には、テーマによって異なることに注意してください。

12室
中立
1室 2室
中立
3室
11室 アセンダントが
牡羊座のとき
4室
10室 5室
9室 8室
中立
7室 6室

例えば、牡羊座のアセンダントの場合、火星は、中立ハウスの8室(蠍座)を支配していて同時にトリコーナの1室(牡羊座)も支配しているため、生来的には凶星ですが、機能的には一般的に良い働きをします。

また、ここでは、生来的な大吉星である木星は、中立ハウスの12室(魚座)を支配していて同時にトリコーナの9室(射手座)を支配してるため、機能的にも、一般的にとても良い働きをします。

一方、金星は、中立の2室(牡牛座)を支配していて、この2室自体がマーラカでもあり、同時にもう1つのマーラカである7室(天秤座)も支配しているため、生来的吉星でありながら、生命にとって、もっとも良くない働きをすることになります。

上記の例は、牡羊座アセンダントのときの支配ハウスだけを考慮した場合の一般論ですので、実際には、個々の惑星配置によって結果が異なることにご注意ください。

※ここに記載したルールによると、例えば、魚座のアセンダントにとって、火星は、概して良い働きをすることになりますが、実際のところは、精神性のテーマにとっては良くありません。なぜなら、火星は、生来的にとても野心的な上に、功徳・幸運の9室および収入の2室を支配するからです。そのため、魚座にとっての火星は、お金を稼ぐことに功徳や幸運を注いで貪欲になり過ぎる傾向があるため、お金儲けには貢献しても、精神性にとっては良くないのです。