占いコラム 30

アスペクト

ドリシュティ

惑星は、在住ハウスだけでなく、その対向に位置するハウス(在住ハウスから7番目のハウス)とその在住星に対しても大きな影響を及ぼします。これをインド占星術ではドリシュティと呼び、西洋占星術ではアスペクトと呼んでいます。

※現代の西洋占星術では、コンジャンクトもアスペクトのひとつとしていますが、インド占星術や西洋の伝統的占星術(古典占星術)では、コンジャンクトはアスペクトとは別の概念であるとしています。

※ドリシュティは『注視する』という意味のサンスクリット語です。

例えば、7室に在住する惑星は、7室のテーマである配偶者・結婚・対人関係に影響を及ぼすだけでなく、1室(7室の対向に位置するハウス)のテーマである身体・性格・全体的な特徴にも大きな影響を及ぼします。

下のホロスコープでは、木星が7室に在住しています。この場合、木星の影響により、身体の大きな配偶者あるいは精神的な要素の強い配偶者と結婚する傾向があります。それに加え、7室に在住する木星はそこから対向の1室にアスペクトすることになるため、その影響は1室が表すテーマ(チャート主自身の身体・性格・全体的特徴)にも大きな影響が及ぶことになります。

※実際の判断において1室の状態を見る場合、7室の在住星だけでなく、1室の在住星、1室の支配星、1室の支配星とコンジャンクト(同居)する惑星、1室の支配星にアスペクトする惑星など多くの複合的な要素を考慮する必要があります。

7室天秤座の木星から1室へのアスペクト
12室 1室 2室 3室
11室 アセンダントが
牡羊座のとき
4室
10室 5室
9室 8室 7室
木星
6室

部分的なアスペクト

惑星は、在住ハウスの対向に位置するハウスだけではなく、在住ハウスから数えて、4番目・8番目、5番目・9番目、および3番目・10番目のハウスに対してもアスペクトします。

例えば、1室に太陽が在住している場合、太陽は、対向の7室にアスペクトする他、3室、4室、5室、8室、9室、10室に対してもアスペクトします。しかし、そのアスペクトによる影響の強さは、アスペクトする位置によってそれぞれ異なります。

1室に在住する太陽からのアスペクト
12室 1室
太陽
2室 3室
11室 アセンダントが
牡羊座のとき
4室
10室 5室
9室 8室 7室 6室
部分的なアスペクトとその強さ
アスペクトする位置 アスペクトの強さ
7番目のハウス 100%
4番目・8番目のハウス 75%
5番目・9番目のハウス 50%
3番目・10番目のハウス 25%

このように、インド占星術には、完全なアスペクト(100%の影響を及ぼす対向へのアスペクト)以外に、部分的な影響を及ぼすアスペクトが存在してるのですが、実際には、一般的な7番目のアスペクト以外を考慮しない占星術師が多いようです。

けれども、これらのアスペクトを考慮すべき根拠が存在しています。

例えば、水星が、1室に対して75%のアスペクトを投げかけるのと同時に1室の支配星に対して50%のアスペクトを投げかけている場合、水星の1室に対する影響は125%となります。この場合、水星が、7室から1室にアスペクトしているだけの場合(100%の影響)よりも、トータルでは、1室に対する影響がより強いことになります。

※経験上、西洋占星術において形成されるアスペクトのように、アスペクトのオーブ(許容度数)が狭い場合には、60度(3番目・10番目)、120度(5番目・9番目)、150度(4番目・8番目)など、7番目以外のアスペクトでも強い影響があります。特に、1度以内で緊密なアスペクトが作られている場合、そのアスペクトの影響は非常に大きくなります。

特別なアスペクト

対向のハウス(7番目のハウス)への完全アスペクト以外に、火星は4番目と8番目のハウスに、木星は5番目と9番目のハウスに、土星は3番目と10番目のハウスに対しても100%の強さでアスペクトします。

※ラーフおよびケートゥのアスペクトについては、諸説ありますが、一切アスペクトを考慮しないのが一般的です。しかし、経験上、木星と同じハウス(つまり、5番目、9番目のハウス)に対するアスペクトは、強く作用しており、無視できません。

火星、木星、土星がもつ、特定ハウスへの完全アスペクト
惑星 特別にアスペクトする位置
火星 4番目・8番目のハウス
木星 5番目・9番目のハウス
土星 3番目・10番目のハウス

各惑星のアスペクトの強さ

各惑星がアスペクトする位置およびその強さは以下の表のとおりです。

各惑星がアスペクトするハウスとそれらへの影響力を示す表
3番目 4番目 5番目 7番目 8番目 9番目 10番目
太陽 25% 75% 50% 100% 75% 50% 25%
25% 75% 50% 100% 75% 50% 25%
水星 25% 75% 50% 100% 75% 50% 25%
金星 25% 75% 50% 100% 75% 50% 25%
火星 25% 100% 50% 100% 100% 50% 25%
木星 25% 75% 100% 100% 75% 100% 25%
土星 100% 75% 50% 100% 75% 50% 100%

西洋占星術におけるアスペクトとのインド占星術におけるアスペクトの違い

  1. 西洋占星術においては、惑星と惑星の間にのみアスペクトが形成される(ハウスへのアスペクトは考慮されない)が、インド占星術においては、惑星と惑星の間以外に、惑星からハウスに対してもアスペクトが形成される。
  2. 西洋占星術においては、惑星と惑星の間で双方向にアスペクトが形成されるが、インド占星術においては、必ずしも双方向ではなく、惑星から惑星へ、あるいは惑星からハウスへの一方通行なアスペクトも存在する。
  3. 西洋占星術においては、形成されるアスペクトの種類に惑星による違いは存在しないが、インド占星術においては、惑星により(火星、木星、土星など)、形成されるアスペクトの種類に違いがある。
  4. 西洋占星術においては、惑星と惑星の間には、度数単位(あるいは、分数、秒数単位)でアスペクトが形成されるが、一般的なインド占星術においては、度数ではなく、ハウス単位でアスペクトが形成される。