占いコラム 3

中国占星術

命・卜・相

中国には、四柱推命(『子平』、『八字』とも言う)、紫微(薇)斗数、六壬神課、鬼門遁甲、断易、その他、数多くの占術が存在しています。その中で、四柱推命と紫微(薇)斗数は『命』に属しています。『命』は、人が生まれた瞬間(生年月日時)をもとにして、その人の一生に起こる吉凶成敗を占う占術です。

六壬神課、鬼門遁甲、および断易は、基本的に『卜』に属します。『卜』は、西洋占星術でいうホラリー、インド占星術でいうプラシュナです。この『卜』の占いは、たとえば、「この結婚はうまくいくのか?」、「この商売は成功するのか?」、「希望の大学に受かるのか?」といった個々の疑問に答えるのに有効な占術です。

手相、人相、家相、墓相、印相など、物の形を見て占うものは、『相』に属しています。

『命』が基本

人の運命を占うときには『命』の占術が基本となります。『命』に示されていないことは、その人の人生では起こりません。たとえば、あまり成績のよくないスポーツ選手がここにいたとします。そのスポーツ選手について『命』の占術で占った結果、勝負に弱く、名誉とも縁がないことがわかった場合、そのスポーツ選手から「私はこれから頑張って、オリンピックに出場し、さらに優勝まですることができますか?」と質問されたとしても、それを『卜』で占うこと自体が無意味となります。まず『命』を分析することによって人生全体でどのような良いことや悪いことが起こり得るのか、そしてそれらが起きる時期がいつ頃なのかを知る必要があります。『卜』は、『命』の後に補助的に使うにとどめるべきでしょう。

四柱推命は吉凶成敗についての判断が鋭い

四柱推命は、『命』の中でも、人生の傾向あるいは人生で起きる出来事など象意についての判断も可能ですが、どちらかといえば、成功する人生なのか失敗する人生なのか、苦しみの多い人生なのかそれとも楽な人生なのかなどの吉凶成敗、およびその度合いについての判断が鋭いという特徴があります。

また、いつ運気が良くなったり悪くなったりするのかというような運勢を占うときにも鋭い威力を発揮します。

紫微(薇)斗数は象意が細かい

これに対し、「紫微(薇)斗数は象意が細かいが吉凶成敗の判断については四柱推命ほどの鋭さはない。」とか、「運勢についてはあまり正確に見ることはできない。」と一般的に言われています。紫微(薇)斗数は、象意の細かさに特徴があることは事実であり、性格・適性・人生の環境などについて詳細かつ的確に判断できます。それだけでなく、吉凶成敗や運勢についてもかなり判断できます。

ただし、流派の違いによって命盤の出し方や占い方に違いがあり、それにともなって占いの結果も変化するということに注意が必要です。

陰陽五行哲学

中国占術の背景には陰陽五行哲学が存在しています。この理論は、『命』・『卜』・『相』といった占術の分野だけでなく、『山』(仙道)や『医』(中医学)にも共通する哲学です。そのため、この陰陽五行哲学を理解している場合、四柱推命や紫微(薇)斗数と中医学の理論とを結びつけて健康問題を占うこともある程度可能となります。

紫微(薇)斗数は、健康面の判断に優れているため、陰陽五行理論や中医学の理論を知らない場合でも、健康面での特徴や弱点を占うために利用できます。

男女の性別の違いによる運気の違い

中国占術は陰陽哲学を背景としているため、同じ生年月日時に同じ場所で生まれた人であっても、本質的に陽である男性と陰である女性の性別の違いにより、四柱推命の大運や紫微(薇)斗数の大限など、運気の流れる順番が逆になります。男女の性別による運気の違いは中国占術独特のものです。

中国占術の限界

中国占術は、吉凶成敗など、その人の宿命や運気の流れを把握するには便利な占術です。正しい方法で使えば、かなり利用度が高いものです。しかし、中国占術を極めたとしても、その精度には限界があります。なぜなら、中国占術のもとになっている陰暦は2時間が一区切りになっているため、最大2時間以内に生まれた人たちを区別することができず、占いの上では、同じ運命ということになってしまうからです。実際には、双子の兄弟でも、境遇が似ることはあっても、まったく同じ人生を経験する人はいません。

中国占術の限界を補うために

中国占術は、実用性が高い、とても優秀な占術ですから、四柱推命と紫微(薇)斗数を併用するだけでも、使い方を間違えなければ、ある程度のことは判断できます。しかし、前述の通り、2時間をひとつの区切りとしている以上、そこに限界があることは確かです。

けれども、どこまで精密に占うかについてはスタンスの問題ですから、「ある程度の吉凶成敗や運気の良し悪しがわかれば十分」という場合は中国占術が便利でしょう。一方、「もっと精密に運命を把握したい」という場合、中国占術の不足する部分を補うために、インド占星術や西洋占星術など、他の占術も併用すべきでしょう。