占いコラム 2

西洋占星術

太陽12星座占い

週刊誌などには「牡羊座のあなたは・・・」という星占いが載っていますが、これは西洋占星術を簡略化したもので、いわゆる『太陽12星座占い』というものです。この『太陽12星座占い』は、生まれたときに太陽が位置していた星座による性格の12分類です。この占いは、性格判断については、使い方次第ではかなり有効なものですが、運命の詳細など複雑なことについて占うことは不可能です。

太陽の在住星座に基づく性格の12分類は、従来トロピカル星座帯に基づいて実践され研究されてきたテーマであるため、トロピカル星座帯が有効に機能しますが、逆にこれをサイデリアル星座帯を使って解釈に使用することはできません。

雑誌やテレビなどでの『太陽12星座占い』は、毎月あるいは毎日の出来事にまで言及していますが、これらはあくまで余興として捕らえるべきでしょう。

本格的な西洋占星術

ある瞬間の惑星配置図をホロスコープ(天体図)と呼びます。占星術では、その中で、人が生まれた瞬間のホロスコープを出生図(ネータル・チャート)と呼んでいます。『太陽12星座占い』では、生まれた瞬間の太陽の位置だけを使用しますが、本格的な西洋占星術では、太陽だけでなく、月・火星・水星・木星・金星・土星・天王星・海王星・冥王星など10の惑星を使っています。

すべてを12星座のうちのいずれかに分類する12星座占いと違い、出生図は、同じ生年月日時に、同じ場所で生まれない限り、完全に同じ出生図になることはありません。

この出生図における各惑星が在住する星座、度数、惑星相互の位置関係(いわゆるアスペクト)などいろんな要素を考慮することにより、性格や心理状態について、太陽12星座占いとは比較できないほど細かく占うことが可能になります。

プログレッションやトランジットで未来予測

本格的な西洋占星術では、性格分析や心理分析ができるだけではなく、人生全体の特徴や未来についてもある程度占うことが可能です。西洋占星術の未来予測技法として、セカンダリー・プログレッション、ターシャリー・プログレッション、マイナー・プログレッション、ソーラーアーク・ディレクション、トランジットなどさまざまな技法が存在しています。

セカンダリー・プログレッションやソーラーアーク・ディレクションで人生の大きな流れを理解し、ターシャリー・プログレッション、マイナー・プログレッション、あるいは逆進行法でさらに時期を絞り込みます。最後に、トランジットを使用して、もっと細かいタイミングを計ります。このようなプロセスでリーディングすることにより、今から何が起ころうとしているのかについてヒントを得ることができます。

人生のあらゆるテーマを表す12のハウス

生まれた瞬間の東の地平線にあたる部分をアセンダント(上昇点)と呼びます。アセンダントは、人生のスタート地点を示すとても重要なポイントです。西洋占星術では、そのアセンダントをはじまりとして、360度の天空を12のハウスに分割し、1室、2室、3室、・・・、12室というふうに当てはめていきます。

それぞれのハウスの象意は、たとえば、1室は身体、2室は収入、3室は交通、4室は母親、5室は子供、6室は病気、7室は結婚、8室は死、9室は深遠なもの、10室は職業、11室は願望、12室は障害というように、人生上のいろんなテーマを表しています。ここにあげた例は、ハウスの象意のごく一部であり、実際には、すべての事象をこの12のハウスに当てはめて分類することが可能です。それにより、理論上では、西洋占星術では、この『ハウス』によって、人生上でのいろんなテーマについて占うことができることになっています。

実践で信頼されない西洋占星術のハウス

実践的な西洋占星術師は、ハウスをほとんど考慮せず、アスペクトの解釈に集中する傾向があり、たとえハウスを使用する場合でも、惑星の在住ハウスを参考にする程度で、惑星が支配するハウスを考慮することは少ないようです。

例えば、惑星の象意を見る際には、ハウスの支配星としての機能的象意を考慮せず、太陽は自我・バイタリティー・名誉・父親、月は情緒・養育・移動・母親など、惑星の生来的象意を中心に考慮します。このように西洋占星術においてハウスが重視されていない理由は、西洋占星術ではハウスが明確に機能していないからです。そのハウスが機能していない原因として、主に以下の三つが考えられます。

  1. 西洋占星術で使用されている星座帯(トロピカル星座帯)が各惑星の支配星座としては機能していない。
  2. ハウスシステムが機能していない(占星術師によって使用するハウスシステムが変わり、それにより、惑星の支配星座や在住星座が大きく変化する)。
  3. ハウスを支配する惑星の割り当ての問題(伝統的には使用されてこなかったトランスサタニアンを星座の支配星とみなすべきか否かに疑問の余地がある)。

ただし、西洋占星術の分野の中でも、具体的な事象を占うホラリー占星術ではハウスが重視されています。ホラリー占星術においては、占星術師自身が強く信じている法則が作用するため、この分野では、その占星術師が実践に使用すると決めているハウス方式や星座帯が作用します。

ウラニアン占星術とコスモバイオロジー

主流ではないものの、あまり信頼できないハウスを基本的に使用しない流派も存在しています。ドイツで発達したウラニアン占星術やコスモバイオロジーがその典型です。そこでは、ハウスを捨てる代わりに、ハーフサム(ミッドポイントとも言う)技法を導入することにより、人生の特徴や今後起こりうる事柄、その良し悪しについて、従来の西洋占星術よりも詳細に判断できるようになっています。

ホロスコープの基点となるアセンダント(上昇点)は、出生時刻が4分進む毎にの度数が1度進みます。ウラニアン占星術やコスモバイオロジーでは、このアセンダントやMCといった時間に敏感な軸をパーソナルポイントとして非常に重視するため、出生時刻の少しの違いが予測に大きな違いをもたらすことになります。これは、ウラニアン占星術やコスモバイオロジーは、精度の高い予測ができる可能性を秘めているのと同時に、出生時刻に関して正確性が求められる占術であることを意味しています。