占いコラム28 【
ハウスのカテゴリー(1) 】
楠 正晴
西洋占星術はアスペクト重視
ホロスコープを分析するとき、占星術における12のハウスは、惑星の在住星座やアスペクトだけでは得られない多くの情報を与えてくれます。けれども、西洋占星術では、ハウスが原則どおりに機能していないという理由で、惑星の在住ハウスやハウス支配のような、占星術のハウスに関する原則は、熟練した実践家からは、あまり信頼されていません。実際、ハウスを一切無視し、惑星の在住星座、あるいは、アスペクトだけを使用する占星術師が多いようです。また、惑星が在住するハウスについては考慮しても、惑星が支配するハウスまでは考慮しない占星術師はかなり多いでしょう。
※書物による知識だけでなく、実践を多くこなしている占星術師の中で、西洋占星術におけるハウスを信頼している占星術師はまれでしょう。ただし、ホラリー占星術は例外です。ホラリー占星術では、不思議なことに、占星術師本人が深く信用して使用している法則であれば、うまく機能していることが多々あるようです。
※惑星の支配ではなく、惑星の在住については、西洋占星術のハウスでも、ある程度作用していることを実感することがあります。その理由は、惑星の在住ハウスについては、西洋占星術とインド占星術とで、重なる部分が多く、偶然に一致することが多々あるものの、惑星のハウス支配については、偶然に一致する可能性が低いためでしょう。

インド占星術はハウス重視
一方、インド占星術では、星座やアスペクトも重要ですが、ハウスを非常に重視します。ハウスを考慮せずにホロスコープを分析することは不可能といってもよいでしょう。そのくらい、インド占星術では、ハウスが信頼されています。もし過去に西洋占星術を実践していた占星術師が、インド占星術のハウス方式を実際に使用して、その有効性を確かめれば、インド占星術におけるハウスがあまりにもよく機能していることに驚くでしょう。実際、そのような占星術師を多く知っています。インド占星術は、実用性が高く、未来予測に優れていることで定評がありますが、その背景には、このハウスの信頼性の高さがあるのです。
※占星術におけるハウスの原則が、西洋占星術では機能せず、インド占星術で機能する理由については、占いコラム08『サイデリアル星座とトロピカル星座(1)』、占いコラム09『サイデリアル星座とトロピカル星座(2)』をご参照ください。
それでは、次に、インド占星術における基本である、ケーンドラ、パナーパラ、アーポークリマといった、ハウス分類について説明します。

影響力の強いケーンドラ・ハウス
インド占星術において、1・4・7・10室は、ケーンドラとして分類されています。ケーンドラはもっとも影響力の強いハウスです。そのため、ここに在住する惑星は大きな影響力を発揮します。また、ケーンドラの支配星も重要です。ケーンドラの中では10室がもっとも強力で、次に7室、それから4室、最後は1室となります。
ケーンドラは、別名、ヴィシュヌスタナ(ヴィシュヌ神の位置)とも呼ばれています。ヴィシュヌ神は維持や保護を司る神です。そのため、ヴィシュヌスタナである1・4・7・10室は保護や高貴さを表しています。そのため、これらのハウスに吉星が在住するとき、ホロスコープ全体が保護され、そこに高貴さが加わります。逆に、このハウスに凶星がいくつか在住し、さらに、ケーンドラのハウスかその支配星に吉星が良い影響(在住かアスペクトによる)を与えていない場合、ホロスコープは保護されず、ホロスコープ全体の凶意が強くなります。


そこそこ影響力のあるパナーパラ・ハウス
2・5・8・11室は、パナーパラに分類されています。パナーパラはケーンドラの次に影響力の強いハウスですから、ここに在住する惑星は、そこそこの影響力を発揮します。

影響力の弱いアーポークリマ・ハウス
3・6・9・12室は、アーポークリマに分類されています。アーポークリマはもっとも影響力の弱いハウスですから、ここに在住する惑星は、弱い影響力しか発揮しません。たとえば、アセンダントが牡羊座のとき、ケーンドラは、1・4・7・10室に対応する牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座、パナーパラは、2・5・8・11室に対応する牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座、アーポークリマは、3・6・9・12室に対応する双子座・乙女座・射手座・魚座となります。
12室 |
1室 |
2室 |
3室 |
11室 |
アセンダントが
牡羊座のとき |
4室 |
10室 |
5室 |
9室 |
8室 |
7室 |
6室 |
ケーンドラ |
1室・4室・7室・10室 |
パナーパラ |
2室・5室・8室・11室 |
アーポークリマ |
3室・6室・9室・12室 |

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