占いコラム34 【
カクシャ - トランジットによる微細なバイオリズム 】
楠 正晴
トランジットによる運気を細かく理解できる占星術技法『カクシャ』
今回紹介するインド占星術の技法は、アシュタカヴァルガの技法に属するカクシャを使用した技法です。この技法は、微細な運気の良し悪しを判断できる便利な技法です。カクシャは、1つの星座(30度)を8つのパート(各3度45分)に分割した各パートのことです。各星座の0度から30度にかけて、動きの遅い惑星から速い惑星の順で、各惑星とアセンダントが、それぞれのカクシャ(各3度45分)を支配しています。その詳細は、以下の表の通りです。
カクシャ |
土星 |
木星 |
火星 |
太陽 |
金星 |
水星 |
月 |
ASC |
始まり |
00:00 |
03:45 |
07:30 |
11:15 |
15:00 |
18:45 |
22:30 |
26:15 |
終わり |
03:45 |
07:30 |
11:15 |
15:00 |
18:45 |
22:30 |
26:15 |
30:00 |
トランジットの惑星が、ある星座(30度)を通過するとき、その細分化されたカクシャ(3度45分)へのトランジットを考慮することによって、より詳細な判断が可能となります。
※アシュタカヴァルガの中でも、比較的よく使用されている集合アシュタカヴァルガや個別アシュタカヴァルガについては、同じ星座(ハウス)を通過する間は、ビンドゥ(吉ポイント)の数値が変化しません。
カクシャには、ビンドゥが入っているカクシャと入っていないカクシャがあります。ビンドゥとは、サンスクリット語で『点』を意味するラッキーなポイントのことです。トランジットの惑星は、ビンドゥの入っているカクシャを通過するときには良い影響をおよぼし、ビンドゥの入っていないカクシャを通過するときには悪い影響をおよぼします。
※カクシャにビンドゥが入る条件については、またの機会にご説明いたしします。
※ビンドゥ(点)を吉のポイント、レーカ(線)を凶のポイントとして、定義するのが一般的です。けれども、インド占星術の古典を含めた書籍の中で、ビンドゥとレーカが正反対の意味で使用されていることもありますのでご注意ください。
カクシャを使って運気を判断するときには、影の惑星であるラーフ(ドラゴンヘッド)とケートゥ(ドラゴンテイル)以外の7つの惑星について考慮します。そのため、ビンドゥの合計は0点〜7点の間になります。カクシャでは、トランジットする惑星のビンドゥを合計した数値の高さによって、運気の良し悪しを判断できます。このビンドゥの数値が多いほど運気が良く、少ないほど運気が悪くなります。
ビンドゥが0点のとき運気は最低となり、1点・2点のときもかなり低い運気です。3点・4点のときは平均的な運気で、5点・6点はかなり良い運気です。そして、7点のとき運気は最高になります。今回は、難しい計算の話は抜きにして、インド占星術ソフト『パラーシャラの光』を使用して手軽にカクシャを用いる方法を実例を使ってご紹介します。

J.W.ブッシュ大統領USA大統領のサンプル
それでは、今から、大混迷を極めた2000年の大統領選挙時のJ.W.ブッシュUSA大統領のカクシャによる運気を検証してみましょう。まずは、J.W.ブッシュUSA大統領の選挙時(2000年11月)のカクシャ表をご覧ください。
※インド占星術ソフト『パラーシャラの光』で、このカクシャ表を表示させるには、“Research”(研究)メニューをクリックし、“Time
Line”(タイムライン)を選択します。そこで現れる画面の右上にある“Menu”(メニュー)で“Kakshas”(カクシャ)を選択してください。
表のヘッダーに並ぶ惑星の名前はトランジットする惑星です。そして、左側の『緑』と『赤』のバーはカクシャを表し、ビンドゥが入っているカクシャは『緑』、入っていないカクシャは『赤』で示されています。つまり、『緑』が多いほど吉で、『赤』が多いほど凶となります。そして、バーの右には、ビンドゥの数値の合計を棒グラフで表したものが示されています。この棒グラフの高さで、その時々の運気の良し悪しを計ることができます。
※この機能を使用する前には、ブッシュ大統領の出生データをあらかじめ入力しておく必要があります。
※緑と赤のバーに記されている惑星は、そのカクシャを支配する惑星です。また、そこに記されている数字はその星座における個別アシュタカヴァルガの数字です。
1.2000年11月7日、大統領選挙の開票があった当日、「ブッシュ候補、当選確実!」の報道がなされましたが、その直後、撤回され、8日には、「ゴア候補が優位!」と報道されました。
このときのブッシュ候補のビンドゥは、3点から1点を行ったり来たりで、低い状態です。選挙直後にこの低いビンドゥでは、あまり強気にはなれません。
2.その後も、なかなか決着が付きませんでしたが、11月26日には、ブッシュ候補が、海外不在者票などでリードを広げ、「勝利宣言」によって政権移行への見通しがでてきました。
このときのビンドゥは6点ですから、かなり好調と言えるでしょう。
3.しかし、ゴア候補がフロリダ州での票の集計に疑問を投げかけ、票の手集計を求めました。州最高裁はゴア候補の要求を認め、手集計を命じていました。ブッシュ候補はこれに対して、連邦最高裁へ不服を申し立てており、この時期は、連邦最高裁での審理中でした。このとき、もし、ゴア候補の主張が認められれば、ゴア氏の逆転勝利の可能性があったため、ブッシュ候補にとっては、いくらか不安があったのかもしれません。
このときのブッシュ候補のビンドゥは1点です。
※2000年12月のブッシュ候補のカクシャ表はここをクリックしてください。
4.12月4日に、連邦最高裁は、「手集計を認めた州最高裁の決定の根拠が明確でない」として、州最高裁へ差し戻し、ゴア候補は全面敗訴しています。
12月4日あたりからブッシュ候補のビンドゥが大きく上昇し始めています。このころは、ブッシュ候補にかなり余裕があったようです。
5.そして、12月8日には、州最高裁が手集計の再開を命令したものの、その直後、9日に連邦最高裁がフロリダ州の手集計の中止を命令し、ここで、ブッシュ候補の当選が確実となりました。
12月8日のブッシュ候補のビンドゥは7点満点の最高点に達しています。
いかがでしたでしょうか? 現象ととてもよくマッチしていると思いませんか。
しかし、これは決して特別なケースではありません。このカクシャ表を使った運気の判断は、100%対応しているとまではいかなくても、かなりはっきりと実感することができるものです。あなたも試してみてはいかがでしょうか?
※カクシャのビンドゥの数値だけで、選挙に当選するかどうかを判断することはできませんが、少なくとも一つの重要な手がかりとなるということは言えるでしょう。
※このカクシャ・バイオリズム表については、300円/1ヶ月分で、あなた独自のものを計算して提供いたします。また、いろんな人のカクシャ・バイオリズムを自分の占星術の実践として取り入れたい方は、インド占星術ソフト『パラーシャラの光』をお買い求めください。

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